初めから、この問題の責任をとるのはこの人!と決まっていればラクなんですけど、そうもいかないのがクレーム処理。
「クーラーが壊れていた」という問題ひとつとっても、様々なクレームのカタチがあります。場所を移すだけでいい人や返金を要求する人、はたまた暑さで体調を崩したから医者に連れて行けという人も……
クレームは定番の対応では解決できないこともあるのです。ある種アドリブ力が問われます。
接客が嫌いになった、という人はクレーム処理が苦手なことがきっかけの人が多いのではないでしょうか。
誰しもクレーム処理は気持ちのいいものではないですが、とくに新人の頃はクレーム対応をするのが嫌で、すぐにまわりの人に助け船を求めてしまいがちです。
それではいつまでたっても対応の仕方がわからないままですし、余計に問題がこじれることだってあります。
たとえ一人であったとしても、解決できないクレームなんてほとんどありません。
粘り強く話を聞いているだけで、案外簡単に解決できることだってあります。
初めの応対がカギ

クレームを言いに来た人は当事者に説明してもらうことを期待しています。
最初から店長に丸投げしたり、「本社に問い合わせてください」などと口にしてしまうのは厳禁。
お客さんは「アルバイトだから」「新人だから」と言って許すつもりは毛頭ありません。お客さんにはまるで関係のない事情なのですから。
むしろ怒りの炎は余計に燃え上がり、「責任能力の無さ」へのクレームに飛び火していきます。
火ダネを増やさないためにも、立場がどうであろうと、店員としての自覚を持ちましょう。
「君じゃ話にならないよ」だとか「責任者を呼べ!」といったワードが出てくるかもしれません。
それでも、「この件については私が責任をもっています」と食い下がることもできます。
責任逃れに走る前に、まずはお客さんの話にじっくり耳を傾けてあげましょう。
話を聞いて、「自分一人では判断できないな」と思ったら、そのときにはじめて店長や本社に引き継ぎます。
お客さんは責任の所在ではなく解決法に関心がある
お客さんにとって、不備が起きた原因や責任の所在は重要なことではありません。
それよりも、不便をどう解決してくれるのか、今後はどうするのかといった未来のことに関心をもっています。
店側としては誰の責任なのかが気になりがちではあります。しかし、犯人探しに気を取られてお客さんを放っておくわけにはいきません。
接客を続けていると、自分とはあまり関係のない問題に立ち会わされることもあります。「犯人は誰……」と頭では思っていてもその場では割りきって対応を。
後々責任追及は必要になるとしても、まずはお客さんが抱える問題を解決してからにしましょう。
助け舟を出すべきタイミング

当事者が対応すべきとはいえ、ときにはすぐに助けが必要な場合があります。
誰かがクレームの応対中なら、同じ時間帯のスタッフ同士で気を配り、必要に応じて応援に駆けつけましょう。
一人で対応すべきでないのはこんな場合です。
- 土下座の強要など、人格否定をされている
- 対応が長時間にわたり続いている
- 詐欺の疑いがある
- 営業妨害をされているのが明らかにわかる
クレーマーに立ち向かうのは勇気のいることです。しかし、あなたが助け舟を出さないことにはその後のお店の雰囲気も悪くなってしまいますし、話し合いが長引くと人手が足りず、店も回らなくなってきます。
スタッフ同士でSOSのタイミングを共有しておくと、大きな問題になる前に対応しやすくなりますよ。