コールセンターは時給が高いわりに常に募集しているので、人気のあるアルバイトです。
しかし、大量採用の裏には大量の離職者がいるのが実際の現場。
中途半端な気持ちで踏み込むと、痛い目を見てしまうかもしれません。
働く前にはしっかり下調べをして、自分に合う仕事かどうか見極めましょう!
今回はコールセンターで働きたい人向けに、仕事内容やしんどいところ、職場の選び方などをまとめました。
目次
仕事内容は大きく分けると2種類ある
コールセンターの仕事を大きく分けると、2種類の仕事があります。
- アウトバウンド
- インバウンド
下でくわしく解説していきます。
アウトバウンド
いわゆる「営業電話」をかける仕事です。
わかりやすいところだと、どこかの会社に電話をかけて、「コピー機いかがですか?」なんてたずねたり。
自分のかけた電話で契約が成立したりすると、「インセンティブ」といって給料に上乗せでお金がもらえたりします。
その分成果主義なところがあり、ノルマももちろんあるでしょう。
高い話術のスキルが求められるので、コミュニケーション力に自身がある人や、常に数字を追いかけたい人向けの仕事です。
インバウンド
かかってくる問い合わせにこたえる仕事。
「コールセンター」ときくと、こちらのイメージが強いと思います。
だいたいどこも受け答えのマニュアルはしっかり作っているでしょうし、営業電話ほど数字に気を使う必要もないです。プレッシャーはこちらのほうが少ないと思われます。
かといってスキルがいらないか、というとそうではなく、高いコミュニケーション力やお客さんの抱える問題を察知できるイメージ力などが問われます。
コールセンターについて説明するとなると、数の多さからどうしてもインバウンド中心になってしまいます。
アウトバウンドについてくわしく知りたい方々にはここで謝っておきます。ごめんなさい。
「ビジネスシーンでの電話のかけ方」では、営業などのビジネス電話のマナーについていろいろ書いています。
こちらも参考にしてみてください。
コールセンターではたらくメリット
職場にコールセンターが選ばれる理由第一位は「時給の高さ」にあるでしょう。
コールセンターは意外と全国各地どこにでもあるので、最低時給が低めの地域などでは心強い選択肢になります。
また管理体制がきちんとしており、はたらく時間、シフトの調節がしやすくなっています。
とくに働ける時間が限られている主婦や、バイトの掛け持ちをしている人にとっては、残業などがしっかり管理されているため働きやすいでしょう。
また、コミュニケーション力が要求されるので、続けることができれば自然と高いコミュニケーションスキルが身につきます。
つねに人手不足であるため、空白期間や学歴、資格関係なく、すぐ採用されることも他のバイトと比べて良いところです。
その採用ハードルの低さから、ブランクのある主婦の方々など、「期間が空いたけどこれから仕事に復帰したい」と考えている人たちに人気があります。
それでも人手が足りないのは、辞める人が多いから。
人手不足は昇格のしやすさにも影響を与えていて、オペレーター(電話に出る人)を指導する管理役もアルバイトだったりする職場もあります。
早い人は半年かからず昇格できるようです。昇格すれば電話に出る場面が少なくなり、精神的にある程度ラクに仕事ができます。
- 時給が高め
- 管理体制がきちんとしているのではたらく時間が調節しやすい
- 高いコミュニケーションスキルが身につく
- 人手不足なので簡単に採用されやすい
- 非正規が昇格できる可能性もある
コールセンターのしんどいところ
はたらく皆さんが口をそろえてきついと言うのは、「意味もなく理不尽な理由で怒られること」です。
電話をかける前から不満を持ったお客さんが多いため、問題を解決しても感謝されることが少ない、という状況もつらいでしょう。
また、管理されすぎている、ということに少なからずストレスを感じてしまう場合があります。
自分で何か方針を決めて仕事ができる職場ではないので、つまらなく感じて辞めてしまう人も。
だんだん気にならなくなるとは思いますが、最初のうちは電話の内容が管理者にすべて聞かれていることもプレッシャーがかかり、ストレスになります。
あと、コールセンターが地方に作られるのは人件費や土地代を節約するためであり、企業としてはあまりお金をかけたくない本音があります。
中には昇給の仕組みをしっかり作っている優良企業もありますが、景気が良くなったとしても、実力で昇格しない限りは時給アップが望みにくい状況です。
- 理不尽な理由で怒られることがある
- 裁量がない、自由がない
- 電話の内容を聞かれていることがプレッシャーになる
- 昇格以外の時給アップはあまり望めない
怒られているのはあなたではない
理不尽なクレームをまともに受け止め続けていると、精神的に不安定になってしまう人も多くいます。
クレームに耐えるコツは、「自分が怒られているのではない」ことに気づくことです。
電話ごしにずっと怒られていると、「自分が悪いんじゃないか」なんて思ってしまいがちになります。
そう考えるのではなく、怒られているときはどこか他人事のように考えてしまうのがストレスをためないコツです。
実際、悪いのはあなたではなく、商品や説明書に欠陥があるから電話をかけてきているのです。
素直に怒りを受け止めるのではなく、「何故怒っているんだろう?」と冷静に考えて、解決までの道を素早く考えましょう。
課題もストレスも共有して解消!
ストレスを溜めないように気をつけても溜まるものはたまるし、ずっと我慢し続けるのはしんどいです。
ストレス解消のコツは、仕事仲間とグチを共有すること。
コールセンターで働く人はみんな持っている不満が同じなので、グチを言い合いながらお酒を飲んだりするとかなり盛り上がります。
「今日こんな人がいたよ」と対策をシェアすることで、課題もたまったストレスも解決できるでしょう。
ギスギスしてそうなイメージのある職場ですが、同じ悩みやつらさを共有できるため意外と仕事仲間との結束は強く、同僚たちとはいい関係を作れると思います。
やりがいを感じるのは「感謝されたとき」
与えられた仕事をただ右から左に流しているだけでは、やりがいを感じず、飽きやすくなります。
どんなに報酬の良い仕事でも、楽しさ・やりがいがなければ長続きしにくいもの。
働く人たちの多くがやりがいを感じる瞬間は、「お客さんから感謝されたとき」です。
シンプルですが、精神的につらい仕事だけに、ささいな感謝に対してありがたみを感じることができます。
例えばふとした会話から、「本当に教えてほしいこと」を探ることができれば、お客さんの満足度が高まります。
問題を察知できるイメージ力が大事、と最初の方で書きましたが、やりがいを感じるうえでも重要だといえます。
マニュアルも大事ですが頼りすぎずに、お客さんとのコミュニケーションを大事にして、相手の感謝をひきだすことが、長く続けるヒケツです。
「判断力のある人」がコールセンターで長く続く
仕事が続く人には共通点があります。
- お客さんの気持ちに寄り添うことができる人
- できること、できないことがきちんと判断できる人
お客さんの気持ちに寄り添う、というのは上の「やりがい」の項目に書いたとおりです。
判断力についてですが、これは、「自分が解決できるか、それともできないか」を判断する力のこと。
コールセンターで働く人には、お客さんの質問にこたえるための資料がわたされます。
その資料をみながらお客さんと電話するのですが、資料でカバーできる範囲は限られていますし、お客さんからの質問も10人いれば10通り。
そのため、専門外の質問が飛んでくることもたくさんあります。
答えようがないことを焦って答えようとすると、精神的にかなり疲れますし、トラブルのもとです。
「答えられない」と判断した質問は、他の部門に任せたりできる仕組みもありますので、しっかり線引きができれば疲労を少なくできます。
仕事を続けていれば判断力は自然と身につくものですが、身につく前に辞める人が多くいるのが実際です。
早く身につければそれだけ、長く続けることができるでしょう。
研修内容とフォロー体制で職場を選ぶ
コールセンターで働きたい!と思う人向けに、職場を選ぶときの基準として、「ここだけは外せないポイント」をいくつかあげてみました。
- 研修に力を入れているか
- フォローの体制はしっかりしているか
- アウトバウンドか、インバウンドか
離職率の高い職場は教育できるベテランが少ないため、研修が十分ではなくなる可能性が高くなります。
逆に、研修の内容がしっかりしているところは、頼りになるベテランも多く、長続きしやすい職場である、ということが言えます。
またフォロー体制がしっかり組まれていれば、専門外のことを聞かれたときなどは上司に丸投げできたりするので、「解決できないからひたすら謝り続ける」という場面もなく、ストレスが軽減できます。
アウトバウンド、インバウンドはあなたの好みで選びましょう。
どのポイントも外部からの情報では信用するのにも限界があるので、面接で聞くことができればベストです。
また、念には念を入れるというタイプなら、「労働組合があるかどうか」も確認しておいて損はしません。
コールセンターではたらく人は派遣やアルバイトが多いので、ちゃんと組織されている職場は少ないものの、はたらく人の立場を保証してくれる存在として労働組合は頼りになります。
- 仕事に潜んでいる不満を企業にぶつけやすくなる
- 賃金の改善を求めやすくなる
- 急なリストラに抵抗できる
- 意見を出しやすくなり、会社組織の風通しがよくなる
などなど、はたらく上でのメリットがたくさん。
何より、「労働組合が組織され、それが続いている」ということは、企業側が労働者の立場をある程度認めている証拠です。
会社にとってやっかいな存在なら、何らかの圧力をかけてくるはずですから。
最後に
「この記事を読んでコールセンターに勤めたくなる人はいるんだろうか?」、と正直疑問です。笑
つらいことも書きましたが、やりがいや、楽しいこともまた、たくさんあります。
長く続けた人の中には、「こんなに楽しい仕事だとは最初気づかなかった」「もっと早めにやっておけば」と言っている人もいるのです。
すぐ辞めてしまう人と長く続けている人の間には、この仕事の感じ方に大きな違いがあるんだろうな、と思います。
しんどい仕事ですが、この記事をご覧になってからコールセンターで働く方々には、ぜひ長く続けていただき、新人のころとはちがう景色を見れるまでになってほしいな、と思っています。