飲食店特有のクレームとして、料理が原因の食中毒、またはその疑惑へのクレームがあります。
テレビでの報道を見る限りでも、もし食中毒を起こしてしまったら、どれだけの責任をとらなければならないかは想像できると思います。飲食店がもっとも気を使うケースであり、対処が慎重になりがちです。
慎重になって決断が遅くなればなるほど、状況は悪化していくものです。対策が手遅れにならないためにも、手順を頭に入れておいて、素早い行動を心がけましょう。
今回の対策はあくまで、「一人でできうる限りの対応」です。カバーできる範囲は、「本当に自分の店が原因の食中毒なのかを確認するまで」です。
確認した結果を見るとお店の料理が原因なのが確実だとわかったり、または最初から自店の料理のせいであることが明らかだったりして、手に負えない状況になったとしたら、すぐに上司や責任者に報告しましょう。
少しのスピードの差が命取りとなる場合もあります。闇雲に判断するのはいけませんが、お客さんを無駄に待たせることがないよう行動は迅速に。
まずは冷静になってもらい、事実の確認を

こんな電話がかかってきました。食あたりの場合などは食べてしばらくしてから症状が出るので、店にお客さんがいないことも多くあります。
お客さんを怒らせてしまうと、適切な対応ができません。お客さんの頭に血がのぼり、うまく状況説明できない場合があるからです。電話だと会話が聞き取りにくい可能性もあり、それがさらにお客さんをイライラさせることになります。
まずはお腹を壊したというお連れの方の状況を聞き、いたわりの言葉をかけましょう。
お客さんは頭に血がのぼっているので文句を言い続けるかもしれませんがヘタに反論はせず、しっかりとお客さんの言葉に耳を傾け、なだめましょう。
下のような疑いの言葉は控えます。
あとで確認はとるとしてもこのような言い方では失礼ですし、お客さんの怒りが収まらないうちには、冷静に返事をすることもできないでしょう。
一通りお客さんの話を聞き、落ち着いてきたら事実確認をとります。自分の名前を名乗り、自分がそのまま応対する場合は会話を続け、対応する権限がないなら「責任者に報告してきます」と電話の主に伝えます。
確認をとるときは、メニュー、時間帯、ほかに食べたもの、お客さんの氏名と連絡先を聞いておきます。ここまでは最低限聞いておきましょう。
できれば、病院で検査をしたのか、一緒に食事をした人は体調を崩していないか、なども判断材料となるため聞いておきます。
電話の後は、すぐに上司に報告します。しっかりと引き継ぎをして、再び電話するときに同じ質問を繰り返さないようにしましょう。
また、同じメニューを食べた他のお客さんからクレームが来ているかを確認し、冷蔵庫にある食品も検品しておきましょう。
お客さんの安全は店の安全

早急な対応が必要なときは、いちいちメニューや来店の時間帯を聞いていられません。店内の作業に支障をきたす場合もあります。食中毒が疑われるクレームの対応は、お客さんの安全、ひいてはお店の安全をいち早く確保しましょう。
そのために、最低限だけ情報を聞き、あとで連絡するという方法もあります。上のふき出しのような例ですね。こちらからの要求ばかりなのでお客さんが怒り出す可能性もありますが、安全確保のための真剣さが伝われば、応じてくれるでしょう。