障害のある方への配慮は、顧客満足を最大化させるためにはとても重要です。
今回はそのひとつとして、「視覚障害のある方」への接客術を紹介します。
障害のある方への接客スキルはレベルの高いものが求められるので、習得すれば普段のサービスの質も向上させることができます。
また、当然ですがお客さんは障害の程度や求めるサービスが一人ひとり違うものです。
「これ!」といった正解はないので、このページで紹介するコツを参考にしつつも、臨機応変な対応を心がけましょうね。
視覚障害者について

視覚障害といっても、全盲や弱視、視野狭窄や白内障など、様々な症状があり、単に「目が見えない人」と決めつけることはできません。
視覚障害者の国内の総数は30万人以上、だいたい400人に1人が何らかの視覚障害をもっている計算です。
レストランの平均来客数は1日約300人ぐらいなので、確率で考えると少なくとも2日に1人は視覚障害者の方にサービスを提供することになります。
視覚障害の原因はいろいろありますが、日本では緑内障、糖尿病が大きな割合を占めているようです。
また、高齢になればなるほど視覚障害を持つ可能性が高くなります。

視覚障害のある方は、たとえ目がほとんど見えなくても、近所の道や自分の家などでは安心して行動できる人が多いです。
逆に、杖を持っていたり盲導犬を連れていても、知らない場所では行動がかなり制限されます。
こちらがサービスを提供する場はもちろん「相手の知らない場所」なので、まずはそれを理解しておきましょう。
一方で、かろうじて見える、という方も多いので、外見からは健常者と区別がつきにくい場合もあります。
視覚障害のある方が求めるサービス
視覚障害のある方がお店に来て困ることは以下のようなものが考えられます。
階段の上り下り、エスカレーターやエレベーターの利用に困難があるのは想像しやすいですね。
他にも、
- 自分のいる位置や向かうべき方向がわかりにくい
- 触らないとモノを区別できない
- トイレの男女別がわからない
- 手書きがむずかしい
などがあります。
これらを踏まえ、自分たちにできるサービスを考えていきましょう。

考える上では、何よりもお客さんが何を求めているのかを正しく理解することが重要です。
商品説明が必要なのか、先導してほしいのか、または何もしてほしくないのか……、最初にお客さんに確認を取っておいたほうがいいですね。
過剰に特別扱いされると居心地が悪くなってしまいますので、自然体で接しましょう。
気を配るときにはさりげなく。椅子に誘導するときなどは、店員の目の届く席に座ってもらうようにすると必要なときに応対がしやすくなります。
「弱視」の方にも気を配ろう
目がまったく見えない「全盲」の方は、盲導犬を連れていたり、杖をついていたりするのでこちらからもそのお客さんが障害者だとわかります。
しかし、「弱視」、つまり「まったく見えないわけではないが見えづらい」お客さんは一見すると他のお客さんとの違いが分かりづらいかもしれません。
弱視のお客さんもいることを頭に入れつつ、普段からお客さんの様子に気を配っておきましょう。
「視覚障害者への対応」とすると全盲の方だけの対応になりがちですので気をつけてください。
来店時
視覚障害のお客さんが入店してきたら、
と積極的に声をかけるようにしましょう。
誘導するときには「腕をお貸しいたしましょうか?」と聞いてからお客さんの半歩手前、杖をもっていない側に立ちます。
お客さんとの身長差にもよりますが、通常は肩や肘などにお客さんの手をもっていき、掴まってもらいます。
紳士のエスコートのようなイメージですね。

歩くスピードや周囲の情報など、お客さんにこまめに声かけをして不安を取り除いてあげましょう。
お客さんと一時的に離れる必要があるときには、壁や手すりに捕まってもらって待ってもらうように配慮します。
商品説明や会計時の対応

視覚障害のある方にもショッピングを楽しんでもらえるよう、目が見えなくても具体的にイメージできるように商品説明しましょう。
たとえば、「短め」「長め」などアバウトな説明に終始せずに、「5センチ短い」「10センチ長い」といった具体的な数字を使いましょう。
言葉だけでは限界があるので、できれば実際に手にとってもらいましょう。
レジでは、しっかりと声を出して確認することが大事です。
会計のときには伝票を読み上げながら金額を打ち込み、代金を受け取ったらその金額を声に出して確認を取りましょう。
おつりを渡すときには声で金額を確認するのはもちろん、お客さんが財布にしまいやすいようにお札、小銭の順番に手渡しします。
カード支払いの場合は、サインする場所に手を誘導してあげましょう。