ビジネス用語の「クロージング」とは、お客さんと契約を結ぶことをいいます。商品の売買も契約の一つです。アパレルなど店舗型の接客業でいうと、お客さんに商品を購入してもらうことをクロージングといいます。
どんなにうまくお客さんとコミュニケーションが取れても、最後のクロージングがうまく行かなければ商品を買ってはもらえません。最後のひと押しをどうするか考えているうちに、話が間延びしてしまい、結局購入に至らない場合もあります。
上手にクロージングするにはどうすればいいのでしょうか。
クロージングは提案から
「ぜひこれを使いください」と断定してしまうのではなく、「これを使ってみてはいかがですか?」と提案するクロージングをしてみましょう。

うまくコミュニケーションがとれているときは、流れよくスッと購入に結びつく場合が多いです。せっかく仲良くなれたお客さんに、直接「買ってください」などとは言いにくいと思います。なので、提案型のクロージングをぜひ使ってみてください。
人の物欲を満たすものは何?

アパレルで扱う製品は、お店のグレードにもよりますが、だいたいが贅沢品と言える商品です。モノがあふれかえっている現代なら、他に安いものなんていくらでも選択肢があります。それでも人がブランド品に身を包むのはなぜなのでしょうか。
人間には少なからず、「きれいな自分を見てもらいたい」という欲があります。洋服やアクセサリーは、「理想の自分」を表現するために購入されているのです。理想と近づくことで人は満足し、精神的に癒されています。
お客さんは服を身につけてキレイになる自分を想像し、癒されたいと思って来店してきます。店員ができるのは、癒しにつなげてあげること。クロージングがうまくいかないのは、お客さんを癒してあげられていないからなのです。
まずは、会話を楽しんでもらうこと。ときにはマシンガントークのお客さんに遭遇して、相当忍耐が必要なときもあると思います。それでも、じっくり耳を傾けて話を聞いてあげるのです。
そしてお話を聞いたら、その話に共感を示します。きっとお客さんは満足し、その満足が購入に結びついてくるでしょう。
お客さんの満足を生みだすために
お客さんと会話するときは「クッション言葉」が便利なのでぜひ覚えておきましょう。「クッション言葉」とは、相手を不愉快にさせない、前置きの言葉のことです。
ファッションに詳しいお客さんと会話をしていると、これから伝える情報について、お客さんがすでに知っているのか知らないのか分からないときがあります。知っている前提で話してしまうと、お客さんのほうは会話を止めてまで「知らない」とはなかなか言い出せません。
一方、知らないと決めつけて「この情報はまだご存知でない方も多いのですが……」と続けてしまうと、「そんなこと知っているわよ!」と不愉快な思いをさせてしまうかもしれません。
なのでその話題を出す前に、「お客様はお詳しいのでご存知でしょうが……」とクッションをはさみましょう。もし知らないとしても不愉快には思われにくいですし、知っている人にも失礼になりません。
お客さんを満足させるためには大切な言葉なので、ぜひ覚えましょう。