「上司が嫌い」「仕事にやりがいがない」「会社にいきたくない」……
有名な心理学者、アドラーが「すべての悩みは対人関係が原因である」と言ったように、職場の悩みも人間関係が原因です。
なかでも上司との関係は職場の人間関係のなかでもおおきな部分を占めていて、不満を抱えやすくなるポイント。
すごしやすい職場づくりには、上司とのよい関係づくりがかかせません。
そのためには、「上司を育てる」という視点をもち、現状を変える努力が必要になります。
上司は選べません。
できない上司、イヤーな上司がいなくなるのをただ待つのではなく、「あなたが上司を育てる」という考えをもつことで、会社生活がかなり快適になります。
目次
上司に期待しすぎたことへのギャップ
「うちの上司使えないな……」「あまり好きになれない……」
そう思っているあなたは、理想の上司像があまりにカンペキすぎて、リアル上司との間にギャップが生まれてしまっている可能性があります。
理想が高ければ高いほど、そうしたギャップが生まれて失望し、わたしたちの間でいうよくある「ダメ上司」が誕生します。
とはいえ、「理想の上司」にどうしても期待してしまうのはわかります。
とくに入社前の仕事にキラキラした希望をもっているときなんかは、今ではありえないような理想を持ってしまいますよね。笑

わたしたちは上司にたいして知らず知らずのうちに理想や期待をおしつけ、その期待に答えられないときは「ダメ上司」とかたよった見方をしてしまいます。
- 部下には常に気を配っておくべき
- 部下の仕事についてはすべて理解しておくべき
- 常にフォロー体制は万全にしておくべき
こんな理想を上司に対してもっていませんか?これらの理想を押しつけるなら、
- 上司には口答えしない
- 上司の方法を勝手に変えない
- 上司に要求されたことは120%にして提出する
といった、上司がもつ「部下への期待」にもこたえるべきだと思います。
とてもじゃないですがこんな期待には常にこたえられません。
お互いがお互いに勝手に期待して、勝手に失望してしまう前に上司と部下で話し合い、ズレを直していく必要があります。
上司を「育てる」のも部下の役割
残念ながら、放っておいてもいい上司は育ちません。
ごくまれには「天然素材のいい上司」もいるでしょうが、その上司に巡り会えるまで転職を繰り返す、というのはリスキーです。
かといって、あきらめてガマンし続けるのもつらいものがあります。

部下が上司を育てる、という視点を持ちましょう。
理想の上司がいないなら、つくればいいのです。
上司の性根から叩き直す、なんて芸当はできませんが、都合のいい上司、便利な上司なら、あなたが会社に入ってからの教育でなんとかすることができます。
ときには上司を叱る
子供を善悪の判断ができる良い子に育て上げるためには、ときに叱ることも必要になります。
上司を育てるにもそれは代わりません。
上司をうまく叱るためには、3つのポイントがあります。
1.何をどう改善してほしいのか考える
ただ「やめてください!」と言うだけでは、上司もカンペキじゃないのでわかりません。
何がダメで、どう改善してほしいのか、なんで改善しなくてはいけないのか、これらをはっきり伝える必要があります。
論理的に物事を考えるときには、WHAT(何を)・HOW(どのように)・WHY(なぜ)の3つの要素を意識します。
上司を納得させるために、まずはここを整理しておきましょう。
2.手段を考える
上司にあなたの言葉を受け入れてもらうためには、どんな場面がいいのかを事前に考えます。
- どのタイミングで言えばいいのか
上司が意見を受けいれる余裕のある時間帯を選びましょう。
昼休み前だったり後だったり、帰宅の直前だったり……
上司を観察して、最適な時間をみつけます。
- どの場所で言えばいいのか
会議の場で伝えたほうが「効く」人もいますし、立ち話でさらっと言ってしまったほうが効果的な場合もあります。
他の人間はいないかなど、上司の立場も考えてあげましょう。
3.叱ったらどうなるかを予想しておく
部下から叱られる、なんて経験はなかなかないでしょう。
年功序列が根強く残ってきた日本の会社では、「そもそも受けいれられない」人も大勢いて、叱られると反発して逆効果、なんてこともあります。
そのため、あなたが上司を叱ったときどんな反応をしめすか、これを予想しておく必要があるのです。
予想をたてるいい方法は、上司がその上司から叱られているのときの反応をみること。
叱られたことに対してちゃんと反省し、次に活かせているかどうかをみます。
しっかり反省できる上司なら、たとえあなたが叱ったとしても教訓として受けいれ、改善について真剣に考えてくれるでしょう。
困るのは、叱られても素直に受けいれられず、誰かに当たってしまったり、上司の悪口を言ってしまう人のとき。
「上司の上司」の注意さえ素直にきけない上司にとっては、部下の注意など気にもとめないどころか、あなたに当たり散らす原因をつくってしまいます。
このような上司に運悪く当たってしまった場合には、上司を叱ることはあきらめたほうが良いでしょう。
その上司と距離を取れるなら、取ったほうが懸命です。